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東日本大震災水産に甚大被害
養殖場、水産加工は破滅的
4月銀鮭用飼料が14トンに急減
国内の水産飼料用魚粉の専門商社筋はこのほど、3月11日に発生した「東日本大震災」での水産加工業界への発生当時からの被害状況について明らかにした。
それによると、三陸沖で発生した大地震や大津波の被害は八戸から調子まで広範囲に及んだ。特に三陸の気仙沼、大船渡、石巻などの被害は甚大で漁船、魚市場、養殖場、水産加工施設などを破壊的な状況に追い込んだ(気仙沼の魚市場は6月23日に再開)。
飼料用魚粉関係では釧路の笹谷焦点、釧路ハイミール、八戸の三浦商店、島守水参加国場、丸光水産、久慈の大原では、今回の震災での被害は確認されていない。
一方で、気仙沼の三陸飼料、気仙沼センター、石巻の石巻魚糧国業、太協物産、協同フィッシュミール、三陸フィッシュミール、石巻水産などは甚大な被害を受けた模様である。また、塩釜の塩釜水産飼料、多賀城の稲井なども被害を受けた模様である。
三陸の魚粉国情は、近年水産加工残サイを主体に処理しており、魚粉としては月産800トンほどを東北地区の飼料工場に納めていた。冷蔵庫、水産加工場などの被害、魚粉工場の被害からみて、魚粉の供給は当面期待できないとしている。
津波の被害は、巻網船の親船五船の被害やサンマ船の被害なども報告されている。養殖場では、三陸の銀鮭養殖は壊滅的な被害となっており、日本養魚飼料協会が発表した4月分の銀鮭用飼料生産量は14トンで、前年同月の2265トンに比べ、2251トン(99.4%)の大幅な減少となっており、今回の大震災による東北地方の銀鮭養殖場被害が壊滅的であったことを数値でも裏付けている。
銀鮭以外の2011年4月分の養殖魚種用飼料の出荷状況は次の通り(カッコ内は前年実績)
▽「鱒用」=789トン(1210トン)対前年比65.2%
▽「鯉用」=386トン(662トン)同58.3%
▽「鮎用」=1242トン(1719トン)同72.3%
▽「鯛用」=8283トン(9231トン)同89.7%
▽「鰤(ブリ)類用」=1万0165トン(1万2698トン)同80.1%
▽「鰻用」=3061トン(3164トン)同96.7%
▽「鯵用」=719トン(673トン)同106.8%
▽「エビ用」=119トン(75トン)同158.7%
▽「その他」=1097トン(1234トン)同88.9%
▼「合計」=2万5875トン(3万2932トン)同78.6%となっており、4月の生産実績には、3月に発生した東日本大震災の影響が各主要魚種の飼料生産に如実に現れている。
一方の畜産についても八戸、先代、石巻、鹿島の飼料工場の津波被害で飼料生産が停止しており、6月21日現在で、石巻の3工場は復旧したものの、他の工場については復興のめどが立っていない状況となっている。この様な飼料生産の環境から今後の、鶏や豚、牛への二次的な被害が懸念されるとしている。
(日刊油脂特報 2011年6月24日号より抜粋)